お金が自然に貯まる人の3つの特徴

よく、「お金が貯まる人の習慣」について書かれた本や記事を目にしますが、私も約10年に渡り多くの方の家計相談を受けてきた結果、お金が貯まる人には共通の特徴があるということを経験値から感じています。

もちろん、全ての方がそうだということはありませんが、皆さんがお金との向き合い方を見つめなおすきっかけになれば幸いですので、ご参考までにお伝えできればと思います。

【コラムニスト】

 ファイナンシャルプランナー 三井明子

●お金が貯まる人に共通する3つの「ない」

よく、「お金が貯まる人はどんなことをしているんですか?」と質問されることがありますが、何かをしているというよりは、「しない」ことに着目する方が大事かなと思っています。私はファイナンシャルプランナーとして、年間100世帯を超える家計相談をお受けし、日常のお金の使い方や価値観などをお伺いしながらその方に合ったライフプランニング(資金計画)をしてきました。実際にご家庭へ訪問するという機会も多くありましたし、その経験則から自然にお金が貯まる人の特徴が何となく見えてきました。

そこには3つの「ない」があったのです。

先にお伝えしてしまいますと、

(1)部屋にモノが少ない

(2)損得にこだわらない

(3)ムダな行動をしない

という特徴です。

なんとく分かる!という方もいれば、一部「?」マークがつく方もいらっしゃると思うので、私なりの考えを解説していきますね。

●部屋にモノが少ない

同世代の方と比べて多くの貯蓄ができている方の特徴として、「部屋にモノが少なく、スッキリと片付いている」ということがあげられます。

納戸やクローゼットにはそれなりにモノをしまわれているのかもしれませんが、普段生活するリビングにはモノがあふれておらず、むしろ必要最小限のものだけが置かれている・・・。

そんなご家庭にお伺いしただけで、「このご家庭はおそらく大丈夫」とファイナンシャルプランナーとしては思ってしまいます。もちろん、先入観なくヒアリングをさせていただきますが、私の場合は、これまでその直感が外れたことはありませんでした。

ご自身で管理しきれないほどのモノがあるということは、取捨選択ができていないということでもあります。そして、そのモノを買うためのお金だけでなく、収納するにも家具や空間というコストがかかり、さらには生活スペースを圧迫されることでストレスを感じ、心にもゆとりがなくなってしまいます。

「断捨離すれば、お金が貯まるようになりますか?」と聞かれれば、私はYESと答えます。

モノへの執着を断ち、自分にとって本当に必要なモノは何か?を見つめ直す断捨離は、あなたらしくお金を使い、コントロールするための第一歩であることは間違いないと思います。ミニマリストまで行く必要はないと思いますが、モノの総量を減らし、掃除や片付けに時間をとられることなく、毎日を気持ちよく過ごせるようにできるといいですね。

なお、いきなりお部屋単位で断捨離はハードルが高いなぁ・・・という方は、カバンやお財布などを定期的に空っぽにするというのもお勧めです。カバンやお財布に不要なものを入れっぱなしにしていないか、確認する習慣をつけるだけでも、断捨離が楽しくなってくると思いますよ。お金や時間の使い方が上手な人は、持ち歩くものも最小限にし、重い荷物を毎日持ち歩くということをしない傾向があると思います。

●損得に過度にこだわらない

お金を貯めている人は節約している(お金を使わない)というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。これは、ある意味正解のようで正解ではないといいますか・・・。節約とケチは紙一重という方もいますが、実はこの両者には大きな違いがあるのです。誰だって「ケチ」と言われるのは嫌ですよね。でも節約家ですね、と言われるのはそれほど悪い気はしません。

ではその両者にはどんな違いがあるのでしょう?

<ケチな人>

・どんな場面でもお金を出すことを渋る

・お金が無い、もったいないが口ぐせ

・目先の利益や損得にとらわれている

・お金を貯める目的やゴール設定が不明確

<節約家な人>

・ムダづかいはしないが、使う時は使う

・お金やモノに対して執着があまりない

・中長期的な目線で物事をとらえることができる

・細かいことにこだわらず、大局や目的を見る


いかがでしょうか?私が幸せなお金の使い方ができているなぁと思うのは、もちろん後者です。お金にに対して執着が強すぎると、逆にお金も人も寄ってこなくなるという逆説的な真理のようなものが存在していると思います。

お金とうまく付き合えている人は、「お金を使う時と使わない時の自分なりのルールや基準がはっきりしている」と思います。そういう方は、お金を大事にながらも、「お金は使ってはじめて価値があるもの」ということ理解しています。

また、目先の細かい損得に気を取られることなく、一歩引いた目線で大局を見極め、中長期での勝利や目的達成を目指します。ですので、「情けは人のためならず」ということを心情とし、人や環境への感謝を忘れず、人のためには喜んでお金を使っていることも多いです。

私のお客様には収入が億単位という方もいらっしゃいますが、そういった方がお金を使わないかというと、むしろよく使っていますし、その方が「ケチ」だったとしたら決して財を成すことはできなったのではないかなと思います。かといって、そういった方たちは投資をすることはあっても、慢心せず、決してムダづかいはしません。

まずは、自分なりの価値基準をしっかり見つめなおし、自分らしいお金のとの向き合い方を考えてみていただければと思います。肩のこらない、窮屈ではない向き合い方がきっとあると思います。

●ムダな行動をしない

3つめの特徴としては、お金の使い方が上手な人は、時間の使い方も上手ということでしょうか。

お金が貯まる人や収入が高い人に多い特徴として

・理由なく問題を先延ばしにしない

・目的なく行動しない(暇つぶしで買い物にいかないなど)

・時間に追われていない(コントロールできている)

といったことがあげられます。


誰にでも、「なんとなく決められないので後回しにする」とか「やらなきゃいけないのは分かってるけど今はいいや」と問題を先送りした経験はあると思います。時間が解決してくれるという問題が無いわけではないですが、先延ばしにすればするほど対処が難しくなるというのが世の常です。

お金が貯まる人は、それをしっかり理解していますし、合理的に物事を判断しています。問題を先延ばしにすることで、何度も同じ問題に時間をかけて考え対処しなくて済むように、自分の判断基準を持って素早い決断ができるようにしているのです。

私の仕事は、お客様の判断基準を理解し、判断の材料となる情報や考え方をお伝えすることでもあるのですが、判断の基準が明確な方の対応は本当に楽です。判断基準がまだ定まっていないとか、ご自身で明確に理解できていないという場合は、それを明確にしていくところからのスタートなので、それなりに時間がかかります。色々な角度で質問を投げかけさせていただき、ご自分なりの考え方、価値観を再認識し、明確化していくプロセスは、とてもやりがいのあることなので、それこそがファインシャルプランナーの仕事の醍醐味なんですけどね。

また、お金を大事にする人は時間も大事にするので、時間のムダづかいもしない傾向があります。暇をつぶすという発想がないんですよね。時間に余裕をもたせ、自分にとって大切なことに時間を使えているんです。暇だ暇だと言って、どうやって時間をつぶそうかと考えている人ほど、実は時間に追われていて本当にやりたいこと(すべきこと)に取り組めていない・・・これもまた逆説的心理の一つですね。


ということで、今回は以上となりますが、いかがでしたでしょうか?

皆さんの大切なお金や時間との向き合い方の参考になれば幸いです。

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