不動産を見比べるための重要ポイント<坪単価>

不動産は同じものが二つとありません。

皆さんは不動産をどうやって見比べていますか?

漠然とした比較ではなく、物件の比較が飛躍的に簡単になる方法をこのコラムではお伝えしていきます!

【コラムニスト】

不動産コンサルタント 黒田健一

「坪単価」ってなんだ?

物件比較の一番ベーシックな方法は「坪単価を出す」ということです。

「坪単価ってなんだ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これを計算するのとしないのでは、視力0.1の人と視力1.5の人くらい物件の見え方が変わってきますので、ぜひマスターしてください。


<坪単価を出すメリット>

・自分が住みたいエリアでは、だいたいいくらの予算で、どのくらいの広さの物件を購入できるのか?ということをイメージできるようになる。

・物件を見た時に、割高なのか、お買い得なのか?を見極められるようになる。

・物件の良し悪しを見極める「軸」が見え、自分の「納得感」を見える化できる。


これがどういうことか、日常生活に例えてみると・・・

「今日はカレーを作るからニンジンを買わなきゃ」と思って、スーパーに買いに行くという場面を想像してください。

スーパーで売っているニンジンは、通常は1本70円が相場だったとします。


売り場に行ったら、1本70円のニンジンも売っていましたが、その隣に1本95円のニンジンも売っていました。

「えっ、高い!」と思って、1本95円のニンジンをよく見たら、「無農薬、有機栽培、ベータカロチン3倍!」と書いてありました。

ここで、

「いや、普通のニンジンでいいでしょ」と70円のニンジンを買ってもいいですし、

「体にいいなら95円でも安い」と思って95円のニンジンを買ってもいいわけです。


もしくは、通常だと1本70円の普通のニンジンが、今年は天候不順で100円になっていたとします。

この時、

「んー、高いけどカレーには絶対ニンジンを入れたいから」と高いのを承知で買ってもいいですし、

「こんなに高いなら、わざわざニンジン買わなくてもいいや」と買わない選択肢もあります。


要するに、どちらを買ったとしても、どちらも買わなかったとしても、本人は納得しているわけですね。

ただ、「普通のニンジンは、通常1本70円だ」と知らなかったらどうでしょう?

お買い物の時に、急いで買ったニンジンが95円とか100円で、後から普通は70円で買えると知ったら、「高いニンジンを買ってしまって損した」と思ってしまいますよね。


不動産はいろんな要素をひっくるめて価格が付いていますので、ニンジンみたいに1本の「単価」という見方ができない分、わかりにくいですよね。

これを見える化するのが、「坪単価を出す」という作業なんです。

今回は、その基本である「土地」の計算方法と「マンション」の計算方法を解説していきます。

「土地」の坪単価を出す

土地の坪単価は、土地1坪当たりの単価ということですので・・・

計算式は

「土地価格」÷「土地の坪数」=「坪単価」 です。


例えば、

6,000万円の土地が広さ30坪だったとすると、坪単価は200万円ですね。


例えばこういう3つの物件があったとしても、当然同じ広さ、同じ価格の物件はそうそうないので、ぱっと見の高い安いはフワっとしています。

<同じ価格帯の物件比較例>

(1)6,000万円 30坪

(2)5,600万円 25坪

(3)5,900万円 28坪


もちろん鋭い方は、これでもある程度の精度で優劣は付けられると思いますが、坪単価を出すと割高、割安を目で見ることができます。

<同じ価格帯の物件比較例:坪単価を計算>

(1)6,000万円 30坪 → 坪単価 200万円

(2)5,600万円 25坪 → 坪単価 224万円

(3)5,900万円 28坪 → 坪単価 210万円


不動産のプロは毎日のように物件の比較をしていますが、物件同士を比較するには色々な要素を見極める必要があります。この色々な要素の「軸」あるいは「背骨」となるのが、「坪単価」ということになります。

坪単価を出すと「相場観」が分かる


皆さんが、ここに住みたいなというエリアがあって、その地域の相場価格を知りたかったとします。

狭いエリアでは、同じ価格帯の物件は少ないですが、色々な値段や広さの物件でも「坪単価」を出すことによって相場価格をマクロ的に判断することができます。


例えば、同じ地域で、こういう5件の物件があったとします。

(1)25,000万円 100坪

(2)13,000万円 45坪

(3) 9,500万円 35坪

(4) 5,500万円 20坪

(5) 6,000万円 22坪


ぱっと見だと相場観をつかむのは難しいですが、坪単価を出すと・・・


(1)25,000万円 100坪 →坪単価 250万円

(2)13,000万円 45坪 →坪単価 288万円

(3) 9,500万円 35坪 →坪単価 271万円

(4) 5,500万円 20坪 →坪単価 275万円

(5) 6,000万円 22坪 →坪単価 272万円


こうすると、②の坪単価288万円ってちょっと強気の値段かな?とか、なにか値段が高い理由があるのかな?といったところまで見えてきます。

このように、「坪単価」を出すことで、このエリアのだいたいの相場価格がいくらくらいか、見えてくるんですね。

「マンション」の坪単価を出す

マンションの計算方法も基本は同じです。

「物件価格」÷「専有面積」=「坪単価」


マンションは専有面積を「㎡」で表示していることが多いので、マンションを探す方で、「㎡」を「坪数」に換算するのが面倒な方は、「㎡単価」で比較してもいいと思います。

例えば、同じマンションで何件か物件が出てる場合なんかは、坪単価(又は㎡単価)を出すと見比べやすいですよね。

同じマンション内で比較できる物件が無い場合には、築年数がそんなにかわらない、近所のマンション同士で比較することも出来ます。


この方法を覚えたら、とにかくたくさんの物件の「坪単価」を出していきましょう。

たぶん同じエリアであれば、さきほどのように5、6件計算すればうっすらと「相場観」ができてきます。


そしてこの「坪単価」を計算した物件が多ければ多いほど「自分のなかの相場観」がより正確に養われていきます。

土地でもマンションでも、坪単価を出すときに注意したい点としては、同じエリアでも数分歩いただけなのに坪単価がだいぶ違うという場合もけっこうあります。

こういった違いも、数多く坪単価を計算して蓄積していくことで、「ただの割高物件」なのか、「その地域はプレミアで値段が高い」ということなのかもわかってきます。

マンションであれば、「マンションまるごとが人気のプレミアムマンション」なのか、「その物件(お部屋)だけがただ割高で売り出しているのか?」もわかってきます


不動産はものすごく高い値段で売りに出しても、それは「売主さんの自由」なんですね。

自分が気に入ったものならばお金に糸目を付けないという方はあまりいらっしゃらないと思いますので、自分で見極める目を持っていないと後悔してしまう事もあると思います。


数千万円~の高額なお買い物、一生に何度もないマイホーム購入で、これを知らずに決断するのと、ちゃんと坪単価を出して、自分にとってその価値があると思って購入を決断するのとでは「納得感」が大きく違うと思います。

後悔しないマイホーム購入の一つの大事な要素になりますので、不動産のプロも使っている、この「坪単価計算」を是非意識してみてください。


今回は、ここまでとなりますが、いかでしたでしょうか?

皆さんのマイホーム探しが大成功となりますように!

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