住宅ローン返済中だけど、買い替えたい?

お住まいを購入された方は、いつか住み替えを経験される時が来るかもしれません。

ご家族構成の変化や、ライフスタイル、価値観などの変化によって、住宅ローンを返済中に住み替えを考える方も多いですので、買い替えの方法と流れについて少し整理しておきましょう。

【コラムニスト】

不動産コンサルタント 黒田健一

●買い替えの方法には2パターンある

住宅ローンを返済している途中で買い替えを考えられる場合、

(1)新居が見つかる前に、今住んでいるご自宅を売却する(売り先行)

(2)新居をご成約された後に、今住んでいるご自宅を売却する(買い先行)

のどちらかを選んで進めていくことになります。


それぞれにメリットとデメリットがありますので、下図にまとめてみました。


ポイントをまとめてみますと・・・

「新たに購入する物件が希望通りのものになるか?」という不安より、「資金計画が成り立つかどうか?」が不安という方は「売り先行」がお勧めです。

逆に、

住宅ローンの審査内定を前提として、「ご自宅を売却できるか?」という不安よりも、「新たに希望通りの物件を購入できるか?」という不安が大きいという方は、「買い先行」がお勧めです。

また、ご家族の状況等により、仮住まいを経由して2回の引っ越しが難しいという場合も、買い先行がお勧めです。

●買い替えの流れ(段取り)を比較

現在のお住まいをご売却するタイミングと、ご新居を成約される順序について、「買い先行」と「売り先行」で比較すると、概ね下記のようになります。


どちらのパターンであっても、まずは初めに行っていただきたいのが「ご自宅の査定」となり、その結果を見て、ご新居となる物件の予算組みを行っていただきます。

このステップが非常に重要なので、少し詳しく下記にご説明いたします。

<ご自宅の査定>

1.買い替えの第一歩として、まず「ご自宅がいくらで売れるのか?」を検証します。

2.査定額が出たら、以下の計算式で購入物件(新居)の予算組みを行います。

  「売却予想額」-「売却諸経費」-「住宅ローン残債」=「売却後の手取り金額」

  ※この段階で売却手取り金額がゼロ以下の場合には、自己資金を追加しても売却を進めるかどうかをご検討いただきます。

3.既存の住宅ローンを加味せず、ご自身の借入限度額を計算します。

4.次に既存住宅ローンを含めたご自身の借入限度額を計算し、

  「自己資金」+「借入限度額」=「諸経費込みの予算」

  を算出します。

※お客様の借入限度額の計算は、ご収入や年齢、ご職業、自己資金、ご自宅の担保余力等によって大きく変動します。


上記の「4」で算出された「諸経費込みの予算」で、ご希望の物件が購入できるのかを検証し、ご予算を増やす必要があれば、売却手取り金額を加算する必要があり、この時点で「買い先行」のパターンを選択することは難しくなります。

また、借入限度額は「銀行が貸してくれる限度額」ではなく、皆様それぞれのライフプランと照らし合わせて、ご自身にとって無理のない計画を立てる必要がありますので、ファイナンシャルプランナーの方にも相談して決めると良いでしょう。

また、「1」の査定額の算出についても、複数の業者で見積もりを出した方が良いでしょう。先日のコラム「高預かりに気を付けて!売却時に知っておくべきこと」も合わせてご一読ください。

●買い替えを進めるなら、今がチャンス?!

先日のコラム「コロナ禍と2021年の不動産市場」でも書かせていただきましたが、現在は無制限金融緩和によるマネーの流入で、株価と同様に不動産価格も都市部では上がってきています。今の状態が、後に振り返って「バブル」と呼べるかどうかは分かりませんが、少なくともこの20年くらいを振り返っても現在の相場価格は一番高いですし、ここまで長い間、高値が続いたことはありません。

通常ですと、購入して10年以内の買い替えは、売却・購入時の手数料を考えるとマイナスになってしまう事が多い為、なかなかお勧めできない状況ですが、昨今では不動産価格が上がっているエリアであれば、数年前に購入された方でも購入当時より高く売却できているという状況ですので、例えば2、3年前に購入された物件でも、上手に買い替えができるチャンスかもしれません。

もちろん「購入した時より高く売却しても、次に購入する物件も高いから同じじゃない?」という事も言えますし、買い換えは精神的にも負担が大きいので、「つい勢いで買ってしまったけど、やり直せるなら買換えをしたい」とか、コロナ禍などにより「想定していないライフスタイルの変化が起きた・・・」など、明確にリスタートをされたいという方以外には、安易にお勧めではできません。ですが、少なくとも売却でマイナスが出ないのであればゼロリセットは可能な時期である、という事を覚えておいて頂けたらと思います。

もし今のお住まいを見直したいという場合には、ご自宅の査定から始めて一度検討してみると良いと思います。

また、数年後に退職を控えている方で、退職後は住まいの場所や広さを見直そうとお考えの方であれば、今の時期からご自宅の査定額を把握されて、準備を始めておくと「資産」でもあるマイホームを、老後の蓄えにできる最適な時期に売却することが出来るかもしれません。

住まいに関する「自分軸形成」のための個別相談では、物件の購入だけでなく、中長期的なお住み替え計画のご相談もお受けしておりますので、改めて住まいに対するご自身の想い(自分軸)と現在の市場、今後の展望を加味したうえで再度整理して頂き、後悔しない選択のお手伝いをさせて頂いております。

何か少しでも気になることがありましたら、個別相談を申し込むべきか悩んでいるという観点でも構いませんので、お気軽にご相談をいただければと思います。

【お問い合わせ先】

ライフプランサポート協会 [email protected]


さて、今回は以上となりますが、いかがでしたでしょうか?

今後も皆様のお住まいについて、より良い未来のヒントとなるような情報をお届けしてまいります!

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